2014年3月24日月曜日

科学の世界でなぜ研究不正? 発表か死か…はやる成果「2番じゃダメ」

  学術論文に使う写真の捏造(ねつぞう)やデータ改竄(かいざん)-。製薬会社ノバルティスファーマの治療薬をめぐるデータ改竄事件をはじめ、研究現場での不正が次々と明るみに出ている。理化学研究所などのチームが発表したSTAP(スタップ)細胞の論文にもさまざまな疑念が抱かれ、日本の科学技術への信頼が揺らぎかねない状況だ。「真理」を追究すべき科学の世界で、不正やずさんな行為がなぜ横行してしまうのだろうか。(伊藤鉄平、道丸摩耶)

語らぬ動機

 「不正については大学の調査が続いており、コメントできない」。過去18年間にわたる論文で、画像の捏造などが発覚した東大の元研究員は、産経新聞の取材に重く口を閉ざした。
 東大が昨年12月に発表した中間報告によると、この元研究員が在籍した分子細胞生物学研究所のチームは平成8年以降、骨ができる仕組みやホルモンが作用する仕組みに関する論文で、画像編集ソフトを使って写真を合成したり、過去の研究で使った画像を使い回したりしていた。
 その数は実に210カ所。43本の論文が撤回されるべきだと指摘されたが、調査では不正を行った研究者の特定には至らず、動機も解明されないままだ。
 
  なぜ不正が起きるのか。「博士漂流時代」などの著書がある近畿大医学部の榎木英介講師(42)は「あくまで一般論だが…」と前置きした上で、「不正の背景には、国際的な競争の激しさがある」と指摘する。
発表か死か

 榎木氏によると、世界の研究者と成果を競う基礎研究の世界には「Publish or Perish(発表か死か)」との格言がある。著名な科学誌に次々と論文を出し、「名声」を勝ち取らなければ研究者として埋没する。国からの研究費も減り、さらに研究が進まなくなる“負の連鎖”に陥るのだという。
 しかも「研究成果は『2番じゃダメ』。一番乗りでないと意味がない」(榎木氏)。論文はその確実性を増すため、第三者が論文内容を検証する「追試」を行うケースもあるが、「待っていると海外の研究者に出し抜かれる」との焦りから、未熟なままの論文が発表されることも少なくないという。
 文部科学省によると、研究者に助成する平成25年度の科学研究費(科研費)は計2400億円。同年度は10月までに研究者から9万7764件の新規申請があったが、実際に研究費が出されたのは2万6355件とわずか27%にすぎない。
研究費の争奪戦は激しく、榎木氏は「ばれなければいいとデータをいじったり、やってないことをやったとみせかけたりする不正が生まれる」と指摘する。
企業と癒着

 一方、ノバルティスファーマ社の高血圧治療薬「ディオバン」を使った京都府立医大などの臨床研究では、論文に使われた解析データが製薬会社の都合のいいように操作されていた。
 ノ社は大学側に計11億円超の奨学寄付金を拠出しており、榎木氏は「製薬会社は薬を売るため都合の良い研究にカネを出す。それが癒着や不正を生む温床となっている」と指摘する。
 製薬会社の“丸抱え”の研究では「自社商品にとって有利な結果」が過度に期待されるあまり、不正が起きやすいというわけだ。
 不正を防ぐにはどうすべきなのか。東京大学医科学研究所の上(かみ)昌広特任教授(45)は「真相を究明し、担当者を処分することしかない」と話す。
 ただ、上氏は「現在は、内部調査のみで第三者調査を行わなかったり、調査を長引かせてほとぼりが冷めるのを待ったりする甘い対応が目立つ」と指摘。内部の不祥事を隠蔽(いんぺい)、矮小(わいしょう)化するような研究機関側の対応が「不正をむしろ助長し、信用を失墜させている」という。
 
低いモラル…研究費で家族旅行も

 国から研究費の助成を受ける大学などの研究機関では、流用や不適切な会計処理も後を絶たない。
 文部科学省によると、架空取引で業者に研究費を管理させる「預け金」や、カラ出張などで裏金化した「プール金」などの公的研究費の不正使用は平成13~23年度に46機関で計約3億6100万円に上った。
 大半が年度末に予算を使い切るための不正処理で、後に高額な顕微鏡やパソコンを購入したり、学会への出張費などに使っていた。
 また、私的流用が確認されたケースもあり、消耗品を転売して着服したり、家族旅行の資金や自宅のエアコン購入費に充てたりしていた。
 流用をめぐっては、東大政策ビジョン研究センターの教授が、データベース作成業務などをIT関連会社に発注したように装い、計約2180万円を私的流用したとして、昨年8月に詐欺罪で起訴されている。

産経新聞

2014.3.23

その1その2その3その4図1図2

--

これと同じことを昨年のバルサルタン事件の時も報じられました。全然改善していないということです。必ず改善を。

2014年3月23日日曜日

元教授、論文撤回を呼びかけ アルツハイマー研究

アルツハイマー病研究の国家プロジェクトJ―ADNI(アドニ)」の臨床研究データに基づいて米国学会誌で発表した論文について、筆者の1人である杉下守弘元東大教授が20日、データの14%に改ざんを含む不適切な例があったとして、共同筆者12人に論文撤回をメールで呼びかけた。STAP細胞の論文撤回問題で揺らぐ日本の先端医療研究への信頼がさらに失われる可能性がある。
 杉下氏はJ―ADNIにデータ検証の責任者として参画する一方、認知症研究の国内第一人者で代表研究者を務める岩坪威東大教授ら12人と共同でアルツハイマー病患者の脳の特徴を探るために行うPET(陽電子放射断層撮影)に関する論文を2013年8月、米国の神経放射線学会誌に発表していた。
 杉下氏が論文発表後に新たな資料を入手し検証した結果、論文に使ったデータ274例中、14%の39例が①記憶を試す面談検査で国際的手順に合わせる目的で検査時間を改ざんした②被験者の同意を得ていなかった③被験者が基準外の年齢だった――など不適切だったことが判明したという。
 杉下氏は「使えないデータが1割以上あれば論文として価値がなく、取り下げざるを得ない」と判断。今月17日にJ―ADNIの改ざん疑惑を調べている東大の調査委員会に論文撤回の必要性を訴え、20日に共同筆者12人にメールで「論文を取り下げることを皆様に提案する」と呼びかけた。
 さらに自らが筆頭筆者を務めた記憶力テストに関する論文も「不正データが含まれていることが明らかになった」とし、撤回する意向を共同筆者に伝えた。
 朝日新聞が改ざん疑惑を1月に報じた際、J―ADNIの主要メンバーは「このデータを使った論文はまだ発表されておらず、改ざんとは考えていない」と反論し、疑惑解明に消極的だった。別のメンバーは「疑惑発覚後、筆者たちは論文取り下げを恐れて何もしてこなかった。今後は取り下げを検討せざるを得なくなる」と指摘する。
 岩坪教授と東大は「調査中で答えられない」、厚生労働省は「不正が明らかになれば対応する」としている。厚労省は杉下氏の内部告発メールを無断で岩坪氏に転送するなど疑惑解明に後ろ向きだ。(渡辺周、青木美希)
     ◇
 〈J―ADNI〉 アルツハイマー病の早期治療や予防を目指し、記憶力低下と脳画像の関係などを調べる。07年以降、38施設が参加し、国と製薬会社が計約33億円を投入。昨年にJ―ADNI2も始動した。今年1月にデータ改ざん疑惑が朝日新聞報道で発覚。杉下氏の内部告発メールを厚生労働省が無断で代表研究者に転送したことも問題化した。

朝日新聞

2014年3月21日

写し

--

公正な対応が必要です。

名古屋外大の学科長、論文盗用か 17ページほぼ丸写し

名古屋外国語大学(愛知県日進市)は24日、現代国際学部国際ビジネス学科長の井戸一元(かずもと)教授(58)=会計学=が2012年に発表した論文に盗用の疑いがあるとして、学内に調査委員会を設置した。井戸教授は盗用を認めているという。
 名古屋外大によると、問題の論文は、井戸教授が2012年に学内の研究誌に発表した「日本の財務報告と会計規制をめぐる課題と解決策」。A4判全28ページのうち17ページが、高知工科大学(高知県香美市)の村瀬儀祐教授の論文をほぼ丸写ししていたという。村瀬教授から今年2月上旬に指摘を受けて発覚した。
 名古屋外大の高橋誠事務局長は「あってはならないこと。特に学科長という指導的立場にあった井戸教授が盗用したことを重く見ている」と話す。井戸教授の過去の論文なども調べて年度内に結果を出し、処分を決める方針だ。
 大学の聞き取りに対して井戸教授は「公務と教育、研究のはざまにあって、業績に対する焦りがあった」と話しているという。

朝日新聞

2014年2月24日

写し

--

これはいけません。

2014年3月18日火曜日

STAP研究成果をホームページから削除

理研発生・再生科学総合研究センターは17日、STAP細胞に関する研究成果を一般向けに紹介したホームページの記事(1月30日付)を削除した。
 削除理由は「論文への疑義に関する調査が行われていることに(かんが)み、取り下げました」としている。

(2014年3月18日00時42分  読売新聞)
 
 
--
 
STAP細胞はおそらく存在しないのでしょう。
 

バルサルタン:臨床試験疑惑 滋賀医大2教員処分 「疑われる論文作成」 /滋賀

毎日新聞 2014年03月15日 地方版

 降圧剤バルサルタン(商品名ディオバン)の臨床試験疑惑で、滋賀医大の研究論文作成に関わった2教員が学内で処分されていたことが、大学への取材で分かった。「信頼性が大きく疑われる論文を作成、公表したことにより大学の名誉と信用を深く傷つけたため」としている。
 処分は先月28日付。筆頭著者の男性准教授が訓告、共同著者の男性教授が文書厳重注意で、ともに懲戒処分には当たらない。大学は公表していなかった。
 問題の論文は掲載した米国糖尿病学会誌から先月撤回された。研究責任者を務めた柏木厚典・付属病院長(副学長)=当時=は先月14日に引責辞職している。【千葉紀和】

--

処分が軽すぎます。