2014年6月12日木曜日

バルサルタン:臨床試験疑惑 ノ社元社員、大学側に解析PC送る 疑惑発覚後、責任転嫁狙い?

毎日新聞 2014年06月12日 東京夕刊
 
 降圧剤バルサルタン(商品名ディオバン)の臨床試験を巡る薬事法違反事件で、東京地検特捜部に逮捕された製薬会社ノバルティスファーマ元社員、白橋伸雄容疑者(63)が、論文の不正疑惑が指摘され始めた2012年10月ごろ、パソコン(PC)と統計ソフトを京都府立医大に送付していたことが、関係者への取材で分かった。研究者側は「改ざん疑惑を大学側に押しつけるつもりだったのではないか」と指摘している。【山下俊輔、石山絵歩】
 府立医大の関係者は大学の調査などに、臨床試験のデータ解析は白橋容疑者に任せていたと説明しており、PCとソフトはいずれも、白橋容疑者が同大の臨床試験データ解析に使用したものだった可能性がある。特捜部もこの事実を把握しているとみられる。12日午前にはノ社本社を改めて家宅捜索し、法人としての同社の関与も含め改ざんの経緯の解明を進める。
 同大関係者によると、大学に送られてきたのは基本ソフト(OS)がウィンドウズのPC1台と、統計ソフト。白橋容疑者は自分の名前ではなく、任意の研究会の名義で送ってきたという。
 府立医大チームは04年に約3000人を対象とする大規模な臨床試験を開始した。09年8月に、「バルサルタンは降圧効果だけでなく、脳卒中予防の効果がある」と結論付けた論文を欧州心臓病学会誌に発表。11年3月と12年9月には関連論文を日本循環器学会誌で発表していた。
 だが同年10月、循環器学会に対し、専門家から論文のデータの不自然さを指摘する通報があり、学会は調査を開始した。PCとソフトが送られてきた時期は、この時期と符合する。
 臨床試験に関わった医師は「こちら(大学)でデータ解析をやったことにしようと考えたのではないか。この時に、白橋さんが改ざんしたんだと思った」と話す。一方で白橋容疑者側は「疑惑が発覚した後、大学側から『解析の検証をしたいので、統計ソフトを送ってほしい』と依頼があったので送った」と説明している。

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